サルコイドーシス
体に怪我をしたときに、傷を治すためにできてくる組織を肉芽といいます。この肉芽が怪我もないのにできるのが、サルコイドーシスの特徴です。サルコイドーシスでは、眼だけでなく、リンパ節、肺、皮膚、骨、肝臓、心臓などにも不必要な肉芽(肉芽腫といいます)ができて色々な症状を起こします。
サルコイドーシスの眼症状
眼には、ぶどう膜炎・網膜静脈炎が起こります。かすみ目、まぶしい、充血、飛蚊症といった症状があります。眼の中で炎症が強く起こったり長い間炎症が続くと、網膜の中心部(黄斑)がはれて網膜が障害されたり、また、緑内障や白内障などを起こし、視力に重大な影響を与えることがあります。
サルコイドーシスの診断および全身検査
サルコイドーシスでは、全身に肉芽腫ができるため、全身の検査が必要になります。この病気では肺のリンパ節がはれて大きくなることが多く、胸部のレントゲン撮影やCT検査、気管支鏡検査を行うことがあります。血液や尿の特殊な検査以外にも、異常のある組織(皮膚やリンパ節など)の一部を取ってきて標本を調べることもあります。ツベルクリン反応が陰性になりやすいため、この検査も行います。これらの検査はサルコイドーシスの確定診断に非常に役立ちます。しかし、全身の検査は大きな臓器の変化を反映するため、変化がわずかなときには異常が検出できないこともあります。
サルコイドーシスの治療
眼のサルコイドーシスは比較的視力予後はよく重大な合併症を起こすことは少ないですが、慢性化することが多い病気です。治療は、ぶどう膜炎や網膜静脈炎が軽いときには、点眼薬だけです。眼底の炎症が強いとき、視神経に炎症のあるとき、硝子体混濁の強いときなどにはステロイド剤の注射や内服が必要になります。この病気はステロイド剤の使用で十分な治療効果が得られることが多く、治療が困難な人は少数です。ステロイド剤の内服は、効果的ですがある程度の長期間(数ヶ月から数年)にわたって内服を続けることが必要です。薬の量を減らすと再発することが珍しくなく、慢性化することも多いため、専門家の管理下におくことが求められます。そして自覚症状がなくなっても定期的な通院が必要です。治療中に気になることがあれば、医師に状態をお知らせください。