ウイルス性結膜炎

ウイルス性結膜炎とは

 白目(結膜)に炎症が起こって充血やかゆみ、涙や目やになどの症状を起こすのが 「結膜炎」です。このうちウイルスによる感染が原因で起こるのがウイルス性 結膜炎です。アデノウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルスなど のウイルスによるものが多く、これらは他の人に感染しますから、家庭内感染 や学校内の集団感染などが起こることもあります。目がゴロゴロする、充血す る、大量の目やにや涙が出る、まぶたが腫れるなどが主な症状として現れます。 中でも特徴的なのは目やにで、ウイルス性結膜炎の場合は、大量で眼が開きづ らくまた糸を引くようなネバネバした白いものが出ます。


ウイルス性結膜炎


ウイルス性結膜炎の種類と症状

(1)流行性角結膜炎

 感染力が強く、昔から一般に「はやり目」と呼ばれているものです。アデノ ウイルスが感染して起こります。症状が非常に強く、白目(結膜)が充血し目やに や涙がたくさん出て、眼の痛みを伴うことがあります。耳の前や顎の下にある リンパ節が腫れることもあります。この病気の潜伏期は約 1 週間から 14 日です。 最初は片眼でもたいてい、数日中にもう片眼に症状が出現します。通常、発症 してから約 1 週間は症状が非常に強いですが、その後徐々に改善してきます。 炎症が強い場合は黑目(角膜)の表面に小さな濁りが残ることがあります。治 療には副腎皮質ステロイド薬の目薬を使うことがあります。濁りが完全に消え るまでに数か月かかることもあります。

(2)咽頭結膜熱

 アデノウイルスによって起こる結膜炎です。この結膜炎は、白目の充血や目 やにといった目の症状以外に、のどの痛みや 39 度前後の発熱などの風邪に似た 症状がみられます。潜伏期は 5〜7 日ほどです。プールを介して子供たちの間に 流行することがあることから、俗に「プール熱」と呼ばれます。

(3)急性出血性結膜炎

 エンテロウイルスやコクサッキーウイルスなどエンテロウイルスの仲間によ って起こる結膜炎です。症状は急性で、充血、目やに、ゴロゴロ感などが出現 し、白目に出血がよくみられます。潜伏期は 1〜2 日で、ほとんどの場合、両眼 に結膜炎が発症しますが、症状は発症から 1 週間以内に治ります。



ウイルス性結膜炎の治療

 ウイルス性結膜炎に対しては、今のところ特効薬はありません。ウィルスの 感染で抵抗力が落ちた眼に他の細菌が感染しないよう抗生物質の点眼薬を使っ て予防したり、炎症の症状を和らげるためにステロイドの点眼を使用します。 ウィルスは患者さん自身の免疫力で次第に消え症状は軽くなっていきます。



ウイルス性結膜炎の感染予防

 ウイルスによる結膜炎と診断されたら、周囲の人に感染を広めないように注 意する必要があります。自分の眼を触り、その手がどこかへ触れて、この触れ たところに誰かが触り、その手が眼に触れるともう感染してしまいます。ウイ ルスは目をこすった手や目を拭いたハンカチなどから感染することが多いので、 感染を予防するにはよく手を洗うことが重要です。手で直接目を触ったり、こすったりしないこと、また目を拭くときはテッシュペーパーなどの使い捨てのものを使い、タオルなどは家族と別のものを使い、お風呂は最後に入るようにしましょう。
 他人へ感染させる恐れのある期間は、流行性角結膜炎や咽頭結膜熱では約 1 〜2 週間、急性出血性結膜炎では 3〜4 日です。ウイルス性結膜炎は学校伝染病 に指定されており、流行性角結膜炎と急性出血性結膜炎は医師が周囲への感染 力がなくなったと判断するまで、咽頭結膜熱は主要症状がなくなった後 2 日を 経過するまで登校を禁止することになっています。社会人でも集団感染を防止 する意味で、できるだけ仕事を休むのが望ましいといえます。